博多の「水炊き」は、中国から長崎を経て、食い道楽の博多で完成したと言われる南蛮料理の一種で、これに洋食スープの調理法を加味したものである。
若いひな鶏を骨のまま鍋に入れて煮立て、季節の野菜や豆腐、マロニーなどと三杯酢に付けて食べる。
薬味として食塩と小ネギのみじん切り、好みによっては唐辛子(もみじともいう)を少々加える。
スープには、二種類の流れがあり、白く濁ったポタージュ風のものと、すまし仕立のものがある。野菜を食べた後は、雑炊にしたり、餅やうどんを入れて残り汁まで一滴も残さずきれいに片付けてしまう。
本場と言われるだけに、町中至る所に水炊き屋はあって値段もピンからキリまである。ブロイラーを使う店も散在するが、地鶏の「さざなみ」という雄の若鶏を使っている店は当然のことながら値段も張るし、味ははるかに問題にはならない。