博多の雑煮といえば、具の種類が多く豪華だと世間では言われているが、実際に「博多のごりょんさん」達に聞いてみるとそうでもない。
まず焼きアゴ(とびうお)と昆布で出汁を取りブリ又はアラ鯛の一種類とそれに干ししいたけ、かまぼこ、かつお菜と丸餅を入れる。他にぎんなん、にんじん、大根などの具は家庭の好みによる。すまし汁の仕立である。
他に正月とは限らず、祝い事や祭などに必ず顔を出す献立として“がめ煮”、“かしわ飯”、“ぬたえ”がある。「がめ煮」は、大根、人参、ごぼう、れんこん、筍、こんにゃくを食べやすい大きさに切り鶏肉のぶつ切りを味出しに入れて、しょうゆと砂糖で煮る。材料を油炒めしないのが博多風。「かしわ飯」は海辺の漁村では鶏肉の代りに“サワラ”を入れるがこれもなかなかの美味といえる。最後に「ぬたえ」はぬたあえがなまったもの、秋の放生会、正月、節句に必ず一品添えられる。大根、わけぎ、青魚など四季の味を楽しむ“酢みそ”和えの料理となっている。