6月27日に前から行ってみたかった「紫陽花忌」が開催されている中呉服町の選擇寺にお参りした。
江戸時代500人以上の薄幸の遊女たちが亡くなると、このお寺にひっそりと葬られたという。その遊女の一人、雪友さんは自分の母親の死を弔うためにこのお寺にお墓を建て、今はその母と共にこのお寺の墓地に眠っている。19歳で亡くなったその雪友さんの命日が6月27日だそうだ。「紫陽花忌」と名付けられている。
「紫陽花忌」は雪友さんをはじめ、苦界でつらい生活を強いられた多くの女性達を弔う日だ。現在のご住職がこのお寺に来られて、遊女たちのことを知られた。檀家さん達に供養を提案されたのが、「紫陽花忌」の始まりだと聞く。ご住職さんと檀家の方々の優しく、温かい心がしみじみと伝わってくる供養だった。
お墓にお参りしてお寺を出ると、空は灰色。今にも降り出しそうな梅雨空は泣きたい気持ちを、歯を食いしばって我慢した遊女の心に思えた。