毎年11月15日から6日間,博多の街ににぎわいを呼ぶのが,「福博せいもん払い」の大売り出し!!その生みの親は“八尋利兵衛”という博多商人。バーゲンの元祖「誓文晴(せいもんばれ)」を実現!!アイデアで博多に元気をつくった男,町おこしのパイオニアです。
1849年(嘉永2年),筑紫郡生まれ。14歳の時,博多の有力呉服商で店員修行。1879年(明治12年),30歳で下川端町に漬物店「八尋金山堂」を創業。開店時,創刊間もない地元紙に「こんこん(たくあん)あります」と珍しい新聞広告を出したアイデアマンです。
商用で出かけた大阪の名物・蛭子市(えびすいち)の誓文払いで,商人達による年に一度の駆け引き抜きの謝恩奉仕の大安売り,押すな押すなの大盛況ぶりを目の当たりにしました。「この賑わいを博多にも」と,漬物店である自分の店は恩恵を受けないにもかかわらず,「博多でも呉服商の合同大売り出しを」と呼びかけました。
当時の商人にとって大売り出しは「しまえた(倒産した)時の蔵ざらえ」とされていたので,話は難航。それでも足を棒にして説得に回り,合計27店の協賛を得て,1879年の暮れに「誓文晴(せいもんばれ)」(当時は明るくこう呼んだ)が実現したのである。
広告ビラ1万枚をつくり,博多の周辺各郡まで配ったこともあり,人の波が押し寄せて催しは大成功。売り上げは予想を大きく上回った。1903年(明治36年),売り出し25回目の開催を記念して,参加する店を呉服商に限らず全業種に拡大,今に受け継がれているのである。