新年の健康を祈って元旦に飲用する薬酒、霊薬。屠蘇散の略。頭蘇、酴酥、茶蘇などともかく。西域系外来語の音訳語と考えられる。山椒(さんしょう)、白朮(びゃくじゅう)、肉桂(にくけい)、桔梗(ききょう)、防風などを調合したものをみりんや酒に浸し、年始に飲んで1年の邪気を払い齢をのばすという。平安時代唐使 蘇明(そうめい)博士が来朝した際、絹の袋に屠蘇散称する霊薬を献上した。
それより宮中元旦の儀式四方拝後に御酒に屠蘇を浸して用いられたのが始まりでのちに武士階級が用い、江戸時代には医家歳暮の代わりに患家に贈る風習から町家・一般家庭にも普及した。
本来は新年に井戸水の浄化のために井戸に吊るす呪術的薬であったのが古くからの中国の正月行事の椒相酒を飲む風習と合体あるあるいは置き換わったものとみられる。