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幸田時計店~山笠と防空壕~

2025年07月30日(水)
コラムニスト

今年も7月15日早朝の追い山笠(ヤマ)で博多祇園山笠もフィナーレを迎えました。ところで、追い山笠でタイムを計るようになったのはいつからかご存じですか?通説では昭和初期とされていましたが、それより以前の明治20年代にさかのぼることが当時の新聞記事で確認されたそうです。追い山笠(追い山笠ならしも)櫛田入りの所要時間を計測されているのが博多区住吉の幸田時計店さんです。現在のご主人(70歳代)は四代目で、ずっと三代目と一緒に太鼓櫓に登って櫛田入りの各流の舁き出し時刻を知らせていましたが、現在は息子さんと担当されています。三代目は当初懐中時計でタイムを計測されていましたが、その後懐中時計とストップウオッチでの両方計測にかわったそうです。計測ストップのタイミングは、舁き山笠(ヤマ)の左右どちらかの棒鼻が境内と通りとの境界線を横切った瞬間だと教えていただきました。

 

幸田時計店さんの創業は明治21年(1888年)で、最初は中島町で営業され、その後昭和3年に現在
の場所に移転して来られました。住吉にある高灯籠には「幸田時計舗」と当時の屋号が刻まれています。

 

お店の前の道は、昔は美野島通りを抜けて竹下・塩原・老司を経由し、那珂川町(当時)へと通じる主要西鉄バス路線でした。お店は丁度そのバスと西鉄市内電車住吉宮前との乗換え地点に位置し、両方の切符を販売されていたそうです。更に戦時中掘られた防空壕も見せてもらいました。福岡市内に今でも残る貴重な防空壕の一つで、傷みも全然なく当時の姿のままで保存されていました。内部はかなり広く、見た目8畳くらいありました。

また、最近店内にカフェをオープンされました。おすすめはシフォンケーキだそうです。住吉神社方面にお出かけの際は休憩の場所として利用されたらいかがでしょうか。

最後にご主人が言われた言葉が印象に残りました。「追い山笠では、櫛田入りと全コースのタイムを計測して公表していますが、追い山笠は決してタイムレースではありません。そうなった責任の一端は(タイムを正確に計測している)私どもにもあるかも分かりません。山笠(ヤマカサ)はあくまで素盞鳴尊(スサノオノミコト)に対する奉納神事だということを忘れてはいけません。」と。

 

 

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