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博多の町でこれからもずっと 雑煮のせき亭

2024年12月13日(金)
コラムニスト

一年中お雑煮が食べられるお店として有名な「雑煮のせき亭」。たまらなくよい薫りのお出汁に丸くて白いかわいらしいお餅。滋養たっぷりで癒されるお雑煮を求めて連日多くの地元の人や観光客が訪れています。
島原がルーツのせき亭ですが博多の地で約半世紀にわたって人々を癒し温めてきました。現在お店を切り盛りするのは三代目の若大将、関健太郎さん。
笑顔が素敵ではきはきと元気なご主人ですがこれまでの道のりは決して楽ばかりではなかったようです。
もともと店舗は博多駅前の地下にありましたが、平成13年の豪雨で甚大な被害を受け移転を余儀なくされました。「その時は本当に大変だったが多くの方々に応援していただいた」と当時を振り返っていらっしゃいました。
現在は博多旧市街エリア、博多祇園山笠をはじめ数々の文化発祥のお寺として有名な承天寺のお隣にお店があります。人気メニューは博多雑煮や島原具雑煮。たっぷりのアゴ・昆布などのお出汁をベースに九州産の野菜はすべて手切りでこだわっています。「伝統という言葉は好きです」とご主人がおっしゃるとおり昔からの具材や製法を守ろうとする一方、近年増加した外国人観光客のために和牛のお雑煮をメニューに加えたり、手間のかかる雑煮をもっと手軽に食べられるように冷凍雑煮を開発したりと新たなプランを次々と考えては挑戦していらっしゃいます。大ヒットしているのがごぼう茶。もともとは妊娠した奥様のために開発に取り組んだそうですが、九州内の品質のよいごぼうを苦労して仕入れ、店内で手づくりしていらっしゃいます。工場委託ではないとは驚きです。健康によいだけでなくお湯を注ぐだけで手軽で簡単に飲めるこのお茶の香りのよいこと。今や大人気で外国の方も大袋を買っていかれるそうです。店舗営業の傍ら食文化を広める様々なイベントなどでもご活躍されており、多忙な毎日を過ごされている中でも黙々と大量の具材を切るご主人の様子を見ていると伝統を重んじつつも新たな文化を積極的に取り入れて発展してきた博多の町と同じだなと感心してしまいます。
せき亭さんのすぐ側、博多へ訪れた観光客を博多旧市街へ導くウェルカムゲートである博多千年門は博多のこれまでの千年の重みとこれからの千年の繁栄を願って建てられました。せき亭さんのお雑煮も博多の味を発展させつつ伝え、私たちを温め続けてくれるに違いありません。

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