博多は商都として、中世以来、多くの人々を惹きつけてきました。その華やかな都市の文化は周辺の町や村に影響を与え、博多を模範とした祭りやしきたりを生み出しています。北部九州では、この現象をハカタウツシと呼びます。
ハカタウツシを最もよくあらわしたものが、北部九州一帯に100ヶ所以上も分布している山笠行事です。津屋崎、浜崎、加布里、日田、直方、飯塚などの祇園山笠をご覧になったことのある方も多いことでしょう。
さて、現代のハカタウツシが遠く北海道の地まで飛び火して、北海道の芦別市で博多と同じ「山笠」が行われていることをご存知ですか?
昭和59(1984)年、市民の青井愼介氏(後の芦別健夏山笠振興会初代会長。故人)が博多祇園山笠の特集番組をテレビで見たのが始まり。石炭産業が終焉を迎えつつあった当時の芦別には、市民が一丸となって情熱を傾けられる祭りが必要という切実な想いがありました。そんな時代背景もあり、「芦別に山笠を!」の気運が高まります。
そして昭和60(1985)年、芦別でも見よう見まねの山笠が始まりました。
平成4(1992)年には博多人形師・亀田均先生の芦別視察がテレビ放映され、健夏山笠は本場博多にも知れ渡ります。博多では伝統の流出に反発の声もあったようですが、芦別市民の本気の熱意が認められ、本家の博多祇園山笠振興会から正式にお墨付きをもらいました。
芦別市民の無病息災を祈念して行われる「健夏山笠」は、7月上旬から、飾り山の「御神(ごしん)入れ」、黄金水松をご神木とする「若松取り」、「祝儀山」、追い山の前々日に行われる「追い山ならし」、そしてクライマックスの追い山まで2週間に渡って執り行われます。
山笠のメインイベント「追い山」は、山笠を舁くタイムレース。追い山には、緑幸流、栄流、北大黒流の、3つの流が参加。それに加え、市役所を中心とした「市流」が、3つに分かれてそれぞれの流に加勢します。
7月第3土曜日 1トン近い重さの山笠が駅前からスタート地点に移動します。
午後5:59 「オイサ!」のかけ声とともに一番山が舁き出し、清道入し山を止め「祝目出た」を博多同様全員で唱和。5分おきに二番山、三番山と舁き出し2.1kmのコースで追い山が行われます。タイム発表後には、なんと「餅まき」が始まります。
今年の「第50回 星の降る里・芦別健夏まつり」は2019年7月20日〜2019年7月21日に開催されます。「北の山笠」に関心持たれた方は、芦別へGO!!